林業業界に就職するには?業界や仕事内容について知ろう!
2019.06.18企業研究・業界研究1980年のピークを境に低迷していた林業業界ですが、現在は産出額が概ね横ばいで堅調に推移しています。林業従事者の高齢化率は他の産業に比べると高いものの、若年者率がほぼ変わらないため、平均年齢は若返り傾向にあります。
今回は、林業業界に就職を目指している就活生に向けて、業界の動向や仕事内容などを詳しく解説します。ぜひ、業界研究や企業研究の参考にしてください。
林業業界の動向とは?
国土面積の約70%が森林である日本は、世界でも有数の森林大国です。林野庁によると、近年の日本の林業産出額は約4,500億円前後で推移しており、木材生産額と栽培きのこ類の生産額がほぼ同じという状況になっています。
木材価格は、1980年にピークを境に、木材需要の低迷、安価な輸入木材との競合などにより、長期的な下落に陥りました。最低の木材自給率となった2002年以降、産出額はほぼ横ばいで推移していましたが、近年はわずかながら回復し4,662億円の産出額となっています。国産志向の高まりと、曲がり材や間伐材等を利用した新しい流通・加工システムの確立が業績回復の大きな要因といえるでしょう。
そして現在、戦後に造成された1,000万haを超える人工林が一斉に利用期を迎えています。今後はこれらの豊富な資源を活用し、林業の復活や成長産業化が期待されています。
今後の課題
森林の所有構造の約90%を個人や小規模経営体が占めるため、大規模な林野の開発・活用・生産をおこない難く、所有と施業の両面から集約化が大きな課題となっています。また、林家や林業従事者の減少や高齢化、低い所得水準の現状を改善するために、低コストで効率の良い作業システムの普及や人材の育成・確保も課題に挙がっています。
成長戦略
林業の分野においても、急傾斜地での作業をも可能にするリモートセンシング技術やICTの活用など、日々進化する最新技術・機械の導入が始まっています。これにより現在の人手不足を補いつつ、林業の生産性と経営力の向上を図ることができます。また、優秀な人材の育成・確保、森林施業の集約化や所有者の明確化、適正な森林管理の推進なども、今後の成長につながる重要な要素といえるでしょう。
林業業界の主な企業
林業業界の中でも特に有名な企業を紹介します。
住友林業株式会社
1691年創業、2017年度の単独売上高が約7,000億円という林業業界を牽引する大企業です。持続可能性を強く意識した企業運営を続けており、海外での住宅事業や植林事業、木造建築物の可能性を広げるW350計画、熊谷組との協業など、国内外で意欲的に事業を展開しています。
日新林業株式会社
1947年設立で、国内外における合板事業、バイオマス発電、国内山林の管理経営、倉庫業などを手掛ける企業です。2017年度のグループ連結売上高が約600億円、特に合板の製造では国内市場の約30%のシェアを誇っています。
丸和林業株式会社
1946年設立、2017年度のグループ連結売上高が99億円となっています。山林管理や造林事業の他に、木材チップの製造・販売、紙製品の製造販売なども手掛けています。また、ホテル・レストラン・温泉施設の経営といった幅広い事業を展開している企業でもあります。
林業業界で働く人の仕事内容
林業業界の仕事内容と聞くと、森林での伐採作業を思い浮かべる方が多いと思います。ここでは、林業の現場における代表的な仕事内容を紹介しておきましょう。
伐採
林業業界の仕事で代表的な職種の1つ。伐期に達した成熟木を主伐(しゅばつ)し、製品化しやすい大きさに切るのが仕事です。また、樹木を育てるために間引く「間伐」や、樹木の成長を阻害する木を伐り出す「除伐」も重要な業務になっています。
枝打ち
「枝打ち」は、枝同士が重なり合って日光を遮断し、樹木の成長を阻害することのないように、邪魔な枝を切り下ろしていく作業です。
地拵え・植栽
「地拵え(じごしらえ)」は、主伐をおこなった後の土地を再生すべく、雑草・残木・切り枝などを除去し、苗を植えるための地面整備をおこなう作業です。苗木を植える作業は「植栽」といいます。
この他にも、山林管理・経営や森林買い付けといった林業独特の職種をはじめ、企業運営に関わる営業・企画・事務部門があります。
先輩の声
林業といっても企業によって木材の加工・販売から住宅事業、レジャー事業など幅広く展開しているので実際の業務内容を就活前によく調べておきましょう。理系の場合は新しい素材や商品の開発などに携わることが多く、大学での研究が活かせる場面が多くあります。文系の場合は職種にもよりますが、生産者や卸、エンドクライアントなど沢山の人と関わるので交渉や調整が得意だと就活の際は強みになると思います。
おわりに
安価な外材輸入などの影響で林業業界は低迷していましたが、国産木材の需要増加と、官民を挙げての成長施策の計画・実施などにより業績が回復してきています。また、他産業に比べて若年者率が高く、若返りが進行中です。現在の林業業界は、創業意欲のある若者にとっては非常にやりがいのある環境が整いつつあるといえるでしょう。
林業業界を希望している就活生は、業界研究と企業研究をしっかりとおこない、ぜひ自身と業界の成長を実現させてください。
株式会社ジェイック
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