業績好調?リサーチ業界の現状と最新動向

2019.10.08企業研究・業界研究
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業績好調?リサーチ業界の現状と最新動向

リサーチ業界は、目的に合わせて幅広いリサーチをおこないます。企業が経営や事業戦略を立てたり商品開発をしたりする際に、事前に市場規模やトレンドなどの動向を把握する必要がありますが、適切なリサーチをおこないサポートするのがリサーチ業界の役割です。

今回は、リサーチ業界の動向や主な企業、成長戦略などを解説しますので、ぜひ業界研究の参考にしてください。

リサーチ業界の動向とは?

リサーチ業界は、市場調査業界やマーケティングリサーチ業界とも言われ、目的に合わせたデータ収集や分析を担っています。近年は多くの業界で、消費者の細分化するニーズに合わせて、次々とトレンドが入れ替わる傾向があり、リサーチはマーケティングにおいて重要な手段として、さまざまな企業の経営や事業戦略、商品開発を支えています。

主なリサーチ方法は、単発の「アドホック調査」と、継続的におこなう「パネル調査」です。従来はアンケートやインタビューなどの「サンプリング調査」や、統計やデータベース分析などの「デスク調査」が主流でしたが、2010年以降にはビッグデータを活用したリサーチ方法も取り入れられています。

リサーチ業界の2017年の市場規模は、国内は前年比2.3%増の2,147億円、国外は前年比6%増の760憶ドルで、アメリカやイギリスを中心に、アジアと中東エリアが急成長しています。近年はモバイル端末の普及により、インターネット経由でのリサーチ需要が増加しているため、リサーチ単価の低下が課題となっているものの、リサーチ件数は増加しており、市場規模は順調に推移しています。

今後の課題

リサーチ業界は、トレンドの移り変わりが激しい近年のマーケティングにおいて重要な役割を担っており、国内外の市場規模は拡大傾向にあります。特にインターネット経由でのリサーチ方法が伸びている一方で、リサーチ価格の低下や、リサーチャーの不足が課題となっています。

国内のインターネットリサーチでは、質問数と比例して料金が設定される形式が一般的なため、1つの質問に多量の情報をつめ込むことで、回答率が下がっているという現状があります。質の良いサンプリングが行えないことが、リサーチ価格を低下させる原因の1つにもなっているようで、業界全体で解決しなければならない課題と言えるでしょう。

成長戦略

リサーチ業界の取引先業種としては、エンドユーザー向けの商品開発をおこなう医薬品や化粧品、食料品、自動車、電子機器などのメーカーをはじめとする製造業が多くの割合を占めています。近年はインターネットやスマートフォンの普及により、利用動向などのリサーチをもとにした新たなサービスや商品の開発に注目が集まっています。新たな業界や職種へ展開することで、新規顧客の獲得が期待されています。

また、エンドユーザーのニーズが細分化していることから、リサーチ内容も細分化する傾向にあるため、適切なアプローチをおこなうことも重要となるでしょう。従来の電話や訪問、インターネットなどのリサーチ方法に加えて、ビッグデータやAIを活用したデータ収集や分析方法を確立することも必要かもしれません。

リサーチ業界の主な企業

ニールセン・ホールディングス

1923年にオランダの企業として創業した「ニールセン」は、合併により成長した世界最大のシェア率を誇るアメリカ企業です。1965年には日本法人「ニーセン・カンパニー合同会社」が設立され、購買行動や視聴行動の分析部門などをそれぞれ法人化しました。

ホールディングス全体の2018年の売上高は65憶ドルで、世界100カ国以上で4万5000人以上の社員が、マーケティングリサーチとデータ分析をおこなっています。グローバルな視点からデータ収集や分析をおこない、日本市場へも展開しています。

株式会社インテージホールディング

1960年に創業した「インテージ」は、2018年の連結売上高は539億円と国内トップ、世界10位の日本企業です。連結売上高ベースで25期連続増収と、業績を堅調に推移させています。

「パネル調査」を得意としており、消費者や小売店などの全国リサーチや、カスタムリサーチなどのサービスを提供しています。消費財、耐久消費財、サービス業、官公庁をはじめとする65以上の業界、5,000社以上と取引があります。

株式会社マクロミル

2000年に創業した「マクロミル」は、日本のマーケティングリサーチ企業で、2018年の連結売上高は約400億円です。2018時点ではアメリカやアジアを中心に16カ国45拠点に展開しており、90カ国の4,000社と年間3万5000件の取引をおこなっています。

マクロミルグループは「アドホック調査」を得意としており、ITを活用したマーケティングリサーチの方法やソリューションを40種類以上保有しています。また、回答者となるパネル数は自社で約120万人、国内提携会社を含めると1,000万人以上となる独自のネットワークを構築しており、幅広いマーケティングデータが提供できる点が強みです。

リサーチ業界で働く人の仕事内容

リサーチャー

マーケティングリサーチャーとも言われ、顧客企業の経営や事業戦略、商品開発などのマーケティング課題に対して、解決するために必要なリサーチ内容を検討し実施します。幅広い業界が顧客となるため、トレンドやニーズの把握にとどまらず、ITを活用して問題解決するスキルも求められます。ヒット商品を生み出す手助けをすることもできるでしょう。

アナリスト

主な仕事内容はリサーチャーがリサーチしたデータ解析をすることで、企業によってはリサーチャーが兼任することもあります。モデリング解析、リサーチしたデータを論理的に報告書にまとめ、顧客企業の経営や事業戦略、商品開発などのマーケティング課題の解決を目指します。各業界の知見や数学的スキル、分析スキルが求められます。

営業職

主な仕事内容は、顧客企業の経営やマーケティングの課題を把握し、解決策を提案することです。課題に対して施策を実施し検証をおこない、新たな課題へ対してアプローチすることで、長期的に経営に寄りそうことができるやりがいがある仕事です。

先輩の声

戦略立案の重要なポイントの1つになるのがリサーチであり、企業の判断に大きく関わることができる点にとてもやりがいを感じています。この業界ではデータを設計するだけでなく、そのデータが示す意味も深く考察する必要があるので、ロジカルシンキングが得意だと就活の際も有利になるので、しっかりと対策をしておくと良いでしょう。

おわりに

インターネットの浸透で、近年のリサーチ業界はリサーチ方法に変化がみられています。課題となっているリサーチ価格の低下や人材不足などを解決し、ビッグデータやAIを活用したデータ収集や分析方法を確立することで、今後も伸びる業界と言えるでしょう。リサーチ業界に就職を希望している方は、業界や各企業の動向をリサーチし分析しておきましょう。


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タグ : リサーチ業界 業界研究
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