大変革の時代!?ラジオ業界の現状と今後

2019.09.16企業研究・業界研究
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多くの就活生の憧れるマスコミやメディア業界には、ラジオ業界も含まれています。音を頼りに情報を発信するラジオ業界は根強い人気がありますが、業界内は大変革の時代とささやかれています。それを知らずに憧れの気持ちだけで応募してしまうと、夢と現実のギャップに戸惑うことがあるでしょう。

そこで今回は、就活生が知っておきたいラジオ業界の現状と課題について解説します。

ラジオ業界の動向とは?

ラジオ業界の概要

ラジオ業界とひと言でいっても、キー局と地方(ローカル)局では規模も仕事内容も変わってきます。自局で番組を作り、ネットワーク系列を通じて全国の各エリアの放送局にその番組を販売するのがキー局です。スポンサーの広告料分配もキー局がおこなっています。

対してキー局から供給してもらった番組を、各エリア内で放送するのが地方局です。地方局が番組を供給してもらっているのは、予算や取材能力の関係から自局で番組を作りにくいためとされています。また、ネットワークに番組を供給する準キー局と呼ばれる地方局もあります。

今後の課題

今のラジオ業界の最大の課題といわれているのは、ラジオ聴取率の低迷です。かつては主要メディアであったラジオも、テレビやインターネットの登場によって聴取率は低下傾向にあります。NHK放送文化研究所がまとめた「国民生活時間調査」によれば、ラジオを聴いている人の割合は1995年から下がり続けており、特に若年層のラジオ離れの深刻さが顕著になりました。平日にラジオを聴いている10代は男女ともにわずか2%という統計も出ているほどです。

また、ラジオのメインリスナーが高齢化しているため、今後はラジオを聴く人自体が減っていくのではないかと危惧されています。スマートフォンでラジオを聴ける「ラジコ」もありますが、ここ5年は登録者数も伸び悩んでいる様子です。今後はいかにリスナーを獲得するかが、ラジオ業界にとっての大きな課題といえるでしょう。

成長戦略

ラジオ業界はテレビ業界と同様に、スポンサーの広告収入によって成り立っています。今後「ラジオで広告を打っても、効果がない」と判断されれば広告収入が減り、番組制作の予算も削られていきます。結果、質の高い番組を期待できなくなるでしょう。

そこで注目されているのがインターネットラジオです。アメリカでは聞きたいときに聴けるネットラジオを打ち出した結果、ラジオの媒体価値が高まり、広告市場が成長した事例があります。

日本の「ラジコ」も一種のネットラジオですが、アメリカのようにリスナーに合わせた独自の広告を配信するには至っていません。インターネットをいかにうまく利用していくかが今後のラジオ業界復活のカギになるのではないでしょうか。


ラジオ業界の主な企業

ラジオ業界にはキー局から地方局まで、さまざまな企業が番組を制作・放送しています。ここではその中でも代表的な企業を紹介します。

株式会社ニッポン放送

株式会社ニッポン放送はキー局のひとつで、関東広域圏を放送対象地域とするAM・FM放送事業者です。「オールナイトニッポン」のキーステーションであることは全国的に知られています。2018年3月期の売上高は144億円でした。早い段階からインターネットラジオにも積極的で、2000年から2018年までLFX mudigiやSuono Dolceなどのインターネットラジオ局を開設していました。

株式会社TBSラジオ

株式会社TBSラジオは、東京放送ホールディングスの連結子会社のキー局です。首都圏で一番聴かれているラジオ局といわれており、2001年8月から2016年4月調査分まで、首都圏におけるラジオ聴取率はトップを守っていました。

「伊集院光とらじおと」をはじめとする芸能人を起用した番組が目立ちます。2018年3月期の売上高は104億7,800万円で前年を下回ったものの、営業利益は5億2,000万円と大きく向上しています。

株式会社エフエム東京(TOKYO FM)

株式会社エフエム東京は、東京都を放送対象としてFMラジオ放送をおこなっています。その中でも、JFM38局で全国放送されている番組「SCHOOL OF LOCK!」は有名です。映画や出版、テレビ放送だけではなく、レストランの運営など飲食業にも進出しているのが特徴で、2018年3月期の売上高は132億3,900万円、営業利益は8億9,800万円でした。

ラジオ業界で働く人の仕事内容

ラジオ業界の仕事といえば、DJやアナウンサーなどの出演者を思い浮かべる人も多いかもしれませんが、番組を裏から支える制作者もたくさんいます。代表的な職種を紹介しましょう。

パーソナリティー、DJ

ラジオ番組の司会や進行役を務める出演者をラジオパーソナリティーと呼びます。DJと混合されがちですが、音楽がメインである番組の場合にDJと呼ばれることが多いようです。ラジオ番組のパーソナリティーは、そのラジオ局専属のアナウンサーが務めることもあれば、タレントなどが担当することもあります。正しい発声法や司会技術が必要であるため、就活では専門の訓練を受けた人が圧倒的に有利です。

編成

ラジオ業界における編成の仕事は、実際にオンエアする番組表やタイムテーブルを作成することです。リスナーのニーズに沿った番組を編成するために、調査をおこなう必要もあります。さまざまな人と深く関わるため、ラジオ局のまとめ役といえるでしょう。

製作・制作(プロデューサー・ディレクター)

放送番組の決定や出演者の交渉、予算の管理などをおこなう製作者がプロデューサー、現場で実際に番組を制作する役割を担うのがディレクターです。

特にディレクターは、ロケで取材をしたり、映像や音声を編集したり、演者と進行の打ち合わせをしたりと、多忙な現場に身を置くことになります。責任が重い仕事であるため、新卒ですぐにディレクターになることはほぼありません。最初はアシスタントディレクターとして、買い出しや必要なものの調達といった軽めの業務から始まり、ランクアップを目指します。

先輩の声

ラジオには声だけしか届かないからこそ聞いている人に想像させたり、余韻を残すことができると私は考えています。テレビがでて終わりの業界だと言われ続けてきましたが、今はインターネットの登場でラジオ業界も新しい時代が訪れておりとても面白い時期に入っているのではないでしょうか。

おわりに

インターネットが一般に浸透したことで、ラジオ業界も変革を求められる時代になっています。しかし、高齢者や地方在住者からのニーズは高く、今後の改革次第では市場が広がる可能性もありそうです。人気の高いラジオ業界への就職は狭き門ですが、魅力のある業界なのでチャレンジしてみてはいかがでしょうか。


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タグ : ラジオ業界 業界研究
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