今後どうなる?アニメ業界の動向と仕事内容
2019.07.18企業研究・業界研究盛り上がりを見せているアニメ業界ですが、実際の市場規模や現状・動向はどうなっているのでしょうか。今回はアニメ業界の現状から動向に加え、仕事内容についても詳しく解説します。また、主な企業についても紹介しますので、業界研究や企業研究の参考にしてください。
アニメ業界の動向とは?
昔のアニメはテレビや漫画雑誌で見るのが通常でしたが、インターネットやゲームなどの普及によって、近年はその見方が変わってきました。また、「名探偵コナン」や「ドラえもん」などの人気アニメは、テレビ放送に加え劇場版が作成されるなど、アニメ業界に長く大きく貢献しています。そんなアニメ業界ですが、近年は業績を右肩上がりで伸ばしています。
日本動画協会が発表した2018年の集計によると、2017年のアニメ業界の市場規模は初の2兆円超を記録しました。2016年の映画「君の名は。」の爆発的なヒットがあり、以降もアニメ映画の大ヒット作が続いたことが市場規模を大きく伸ばした要因と考えられています。
しかし、この市場規模には海外市場の割合が多くを占めているという指摘もあります。国内市場だけの推移を見ると、2015年以降年々減少しているというデータがありアニメ業界の国内消費は低迷している現状です。また、アニメ業界の主力商品であったキャラクターグッズなどのアニメ関連商品の売れ行きが低迷していることも要因となっているようです。
このように、国内でのアニメ業界の業績は低迷期を迎えていますが、日本のアニメが海外で人気となっていることから海外市場の盛り上がりしだいで今後のアニメ業界の業績は変わって来ることでしょう。
今後の課題
国内のアニメ市場は年々低迷していることを受け、国内消費をどのように盛り上げていくのかが今後の課題に1つとして挙げられるでしょう。また、アニメ業界の主力商品でもあったキャラクターグッズなどの関連商品の売上高が減少していることも課題となります。
成長戦略
現在のアニメ業界の市場規模を大きくしている要因に、海外市場があります。日本のアニメが海外で人気ということもあり、今後の成長戦略の1つとして海外を視野に入れたアニメ製作が業界の業績を伸ばす一因となるでしょう。しかし、日本のアニメを海外配信するには言語の変換など難しい課題もあります。
アニメ業界の主な企業
株式会社IGポート
創立1987年の「株式会社IGポート」は、アニメーション作品のコミック企画から制作までを一貫しておこなっている大手企業です。2018年度の連結売上高は84億2,600万円となっています。コミック専門出版社やアニメーション制作会社などを子会社にするなど、企業を大きくする動きがあります。また、オリジナル作品や海外との共同制作などを強化して業績を伸ばしていく方針を打ち出していることから、今後の成長が楽しみの企業です。
東映アニメーション株式会社
1948年、日本動画株式会社としてアニメ制作を開始した「東映アニメーション株式会社」は、国内外でアニメーションを製作し各メディアに販売・版権事業・関連事業をおこなっている大手企業です。2018年3月期の連結従業員数695名、売上高は459億9,200万円となっています。国内だけでなく海外にも同様の事業を展開していることが東映アニメーションの最大の強みであり、大きな売上高を上げている要因です。
株式会社創通
1965年に株式会社東洋エージェンシーとして創業し、後にテレビ番組を手掛けることとなった「株式会社創通」は、アニメーションの番組企画から制作・キャラクター商品のプロモーションなどをおこなっている企業です。従業員数は2018年8月現在35名と少人数での企業経営ですが、「機動戦士ガンダム」や現在でも人気のアニメ「それいけ!アンパンマン」など多くの人気アニメを放映してきた企業です。
アニメ業界で働く人の仕事内容
アニメ業界での職種は多岐に渡ることから、さまざまな職種があります。ここでは、アニメ業界ならではの仕事内容を紹介します。
演出助手
演出助手の主な仕事内容は、監督や演出家の助手として作画や動画などの制作がスムーズにおこなわれるように全体をサポートすることです。将来的に、監督や演出家を目指している人にオススメの職種となっています。
美術デザイナー
美術デザイナーの主な仕事内容は、監督や演出家のイメージしている舞台作品の美術設定や背景画を作成することです。Photoshopなどデザイン専門の機能を使用するので、ツールに詳しくなっておく必要があります。将来的には美術監督を目指すことのできる職種です。
アニメーター
アニメーターの主な仕事内容は、映像の元となる連続静止画を作成することです。技術が評価されると、作画監督になれる可能性がある職種です。
制作進行
制作進行の主な仕事内容は、各制作の工程を管理し進行していくことです。ひとつの制作に関わっているすべての人たちと関わりをもつ職種のため、コミュニケーション能力が必要とされる部署です。
先輩の声
私は沢山の人に笑顔を届けられるとてもやりがいのある業界だと考えアニメ業界へ就職を決意しました。いざ働いてみると地味な仕事が多く、辛いこともありますが自分が関わった作品が世の中に出たときは本当にこの仕事をやっていてよかったなと思えます。この業界は会社や職種によって働き方がかなり異なるので一概には言えませんが、人を楽しませたい方や縁の下の力持ち的な仕事が得意な人は向いていると思います。
おわりに
海外市場の盛り上がりもあって市場規模が2兆円を突破し過去最高の業績となっているアニメ業界ですが、国内市場は低迷している現状があります。今後も海外市場に向けて事業展開を拡大していき売上高を伸ばす動きが見られていますが、言語変換などの難しい課題も残されています。アニメ業界で働くには、アニメーターや演出助手など特殊な仕事内容の職種もありますので、就職を希望している就活生はしっかりと業界研究と企業研究をしておきましょう。
株式会社ジェイック
最新記事 by 株式会社ジェイック (全て見る)
- 業績好調?リサーチ業界の現状と最新動向 - 2019年10月8日
- 大変革の時代!?ラジオ業界の現状と今後 - 2019年9月16日
- ジュエリー業界の将来性は?業界の現状と今後の動向 - 2019年9月16日